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漆の耐熱温度について
石川漆宝堂さんのみずめ桜椀が大変好評です。
おかげさまで今回入荷分は完売となりましたが、
数日中に再入荷する予定ですので、もうしばらくお待ちくださいませ。
21日に更新のオンラインショップでもお求めいただけます。

よく本に書かれていることですが、漆器に「グラグラに煮立った汁」を注ぐのはおやめください。
漆には、そこまでの耐熱性はないそうです。
「具体的に、何℃までだったら大丈夫でしょうか?」と聞きましたら、石川さんもハッキリとした温度は分からないそうで。

実はこれ、私の長年の疑問でもありました。「グラグラ」って、いったいどの程度を指すのだろうかと。
そこで今回、破損覚悟で、思い切って実験をいたしました。
結論から先に申し上げますと、95℃までは大丈夫でした。
漆の耐熱温度について_b0142663_11491664.jpg

色によって差があるかもしれないので、黒と朱、それぞれ二点ずつ実験。
常温の漆器にいきなり熱湯を注ぐという方法です。
90℃、95℃、100℃と三段階に分けて試したのですが、90℃、95℃では、4点いずれにも変化は見られませんでした。
しかし100℃では、4点すべてに、長さ5mm程度の筋が数本~十数本現れました。
表面が縮んで、キュッと皺が寄ったような感じです。

ただし、よほど注意して観察しなくては見つけられない程度の極々細い筋です。その後の使用には問題ないレベル。
また、これもよく言われている「白っぽくなる色の変化」は、黒、朱、どちらも確認できませんでした。
ちなみに、線の本数は「黒」のほうが明らかに多かったので、「朱」のほうが熱にはやや強いのかもしれません。


通常、出来たての味噌汁の温度は、せいぜい90℃までではないでしょうか。
これも実験したところ、95℃では表面に白い泡が立ち、味噌汁としてはあきらかに「煮過ぎ」な状態でした。
さらに吹きこぼれる寸前まで温めると102℃まで温度が上昇しましたが、
火を止めてそのまま40秒置くか、もしくはお玉で大きく10回かき混ぜると、95℃まで下がりました。
(アルミの雪平鍋を使用して、2人分で実験)

というわけで、味噌汁などの汁ものは、沸騰直前~沸騰直後でないかぎりは、
ほぼ95℃以下の状態にあると考えてよいと思います。
どうぞおそれることなく、熱々の汁をよそってください。

ただ気をつけていただきたいのが、沸騰機能の付いた電気ポット。
インスタントのお吸い物を作るときなど、ポットから直接お湯を注ぐと95℃以上になりますから、ご注意下さい。


それともう一点。
買ったばかりの漆器は、しばらく漆の匂いがします。
これは使っているうちに徐々に消えてなくなるものですが、今から購入されますと、
お正月のお雑煮は、まだちょっと漆の匂いがするかと思います。
中には気になる方もいらっしゃるかと思いましたので、念のため。
漆の耐熱温度について_b0142663_1492829.jpg


※当店で販売している石川漆宝堂の漆器についての実験結果です。
他の漆器については、また違う結果となる可能性があります。



12月の店休日
8日(火) 12日(土) 18日(金) 21日(月) 30日(水) 31日(木)
by chidori-blog | 2009-12-19 18:41